不眠症(2)

 眠ろうと努力するから逆に不眠症になるのです。

 眠ることは自然の生理現象であり、時間が経過すれば自然に眠りに本来は入ります。ところが心配事や更年期障害などでちょっと眠りに入る条件が低下することがあります。するとこの時に眠ろうと努力するのでかえって眠れなくなるのです。

 すなわち努力しなければ自然に眠りに入るところ(副交感神経が優位になる)、眠ろうと努力することで緊張状態を生み(交感神経が優位になる)、さらに眠りに入りにくい状態を生む悪循環にて不眠症になる、または不眠症が重くなるのです。

 とにかく眠ろうとする努力が一番の敵です。ただし具体的な事件や悩み事があって不眠症になった場合にはそれに対処する努力は必要ですが、眠ろうとする努力はそれとは逆作用の関係にあります。したがって眠ること自体には努力しないことです。

 井上陽水さんが歌っている「夢の中へ」で次のような一節があります。「探すのをやめた時 見つかる事もよくある話で」。このようなことは多くのひとが経験しているでしょう。不眠症も眠る努力をやめるのが一番です。

 とは言え、不眠症になるひとは真面目で何か努力しないと落ち着かないひとが多いと思います。その場合は眠ろうと努力するのではなしに、布団に入って例えば英会話のリスニング(イヤホン使用も可)をやり通すなど眠らない努力を恐れずにすることです。

 これなら眠れないではなく、眠らないようにしているのですから、焦りがなくなります。気がついたら眠りに入っていたということになるでしょう。これが習慣化すれば不眠症は卒業です。とにかく眠ろうと努力することだけはやらないように。

 前記の眠らない努力をもう少し具体的に記しますと、①就寝の15分以上前からなるべく興味あるラジオ番組の局をチューニングして聴き始める、または英会話等のマスターしたい内容をCD再生などで聴き始める(イヤホンで聴くことも可)、②就寝時も時間を気にせず①に記した聴くことに集中する。僅かこの二点です。

 以上の行為は眠ることに一見逆行しますが、眠ろうと努力することが不眠症の一番の敵ですから理に適っているのです。不眠症で悩んでおられる方はぜひ一度試してみてください。

 

次ページ   前ページ