未知の三大病理

 ヒトは本来、もっと健康で生きることのできる生き物なのです。しかしながら巨大な病理の見過ごしを含む人間社会の誤った既成概念や商業主義の影響によって、病気や不健康な道を知らず知らずのうちに歩んでいるのが実情です。

 人間社会の誤った既成概念は人類の長い歴史で築かれてきましたが、その一端は医(医学・医療)によって築かれてきました。これは医の功罪のうちの罪の部分であり、功の部分ももちろん医にはあります。

罪の部分の代表は巨大な病理を現代医学も見過ごしてきたことです。

 病理とはどのようにして病気になるのかの原理あるいは理論です。

 病理は細かくは病気の種類と同数かそれ以上あると言っても過言ではありません。しかし一般の人々にとって病気の予防や健康に重要なのは細部にまで渡る病理ではなく、大局的な病理です。

 大局的にとらえると病理は四つ(四大病理)が考えられるのですが、このうちの三つ(三大病理)を現代医学も見過ごしてきました。したがって医者も知らない三大病理が存在するのです。

 四大病理のうち、既知の一大病理が調和面の要素であるのに対し、未知の三大病理が秩序面の要素であることを分かりやすく示したのが以下の図です。

 また四大病理の要素は身体系と精神系にそれぞれ大別されます。

先ずこれまで知られている病理から説明しましょう。

 身体内外のその時々の環境変化に対して一定の状態(恒常性=ホメオスタシス)を保つのが生命のひとつの基本機能であり、この機能が十分に働かないとヒトは病気になります。つまり恒常性の如何が慢性疾患を発症するか否かに当てはまるだけでなく、細菌やウイルスによる急性疾患や感染症が発症するか否かにも当てはまる既知の一大病理なのです。 

 すなわち感染症になるかならないかの決め手も細菌やウイルスに対する抗体(免疫)の有無ではなく、恒常性を保つ生命力(自然治癒力)なのです。ある程度の生命力がなければ生きていることも、接種したワクチンを抗体(免疫)にすることもできません。

 逆に細菌やウイルスに対する抗体(免疫)をつくる生命力があればワクチンを接種しなくとも同等かそれ以上の状態は保て得るのです。その意味で恒常性を保つ生命力の不足(恒常性の低下)で起こるのが既知の一大病理です。

 ただし生命力や体力が未熟な小さい子供がワクチン接種に依存するのは止むを得ません。一方、生命力や体力が衰えた高齢者もワクチン接種に依存するのは一見止むを得ませんが、高齢者の生命力や体力は誰でも一様に衰えるわけではありませんので、ワクチン接種に依存しなくても良いよう、できるだけ生命力や体力を衰えさせないことが重要です。

 ここまで既知の一大病理として恒常性(ホメオスタシス)の低下をあげました。

 ところが生命活動は「秩序と調和」の二重性から成り立っていますので、秩序面も見る必要があるのです。既知の一大病理が調和面の要素であるのに対し、未知の三大病理は秩序面の要素です。

 しかしながら医学は表面的な生命活動(調和面)を見るのみであり、体内地動として指摘している土台となる生命活動(秩序面)を見過ごしてきました。このために生命内部の時間に基づく三大病理が看過されてきたのです。

 三大病理の一つ目は、生命内部の時間そのものが見過ごされてきたことによる病理であり、生きること自体のメカニズムや加齢の本質的メカニズムが不明とされてきたゆえんであるほか、アルツハイマー型認知症の真因が不明とされてきたのも生命内部の時間が見過ごされてきたことが根底にあります。

 三大病理の二つ目は、生命内部の時間に基づいて身心のコンディション変化(バイオウェーブ)が起こるメカニズムであり、このメカニズムが見過ごされていることです。病気になるメカニズムとして最も広く当てはまるのが秩序に基づく身心のコンディション変化(バイオウェーブ)によるものです。これは多くの人が一生のうちに数度は経験するのですが未知の病理であるために気づいていないのです。

 つまり既知の一大病理としてあげた恒常性(ホメオスタシス)の低下は表面的には調和面ですが、秩序面である生命内部の時間に基づいた身心のコンディション変化でも起こるのです。

 身心のコンディション変化は身体的なコンディション変化と精神的なコンディション変化に大別され、両者を総合したものです。自律神経失調症はもとより、うつ病の発症とも密接に関係しているほか、ほとんどの疾患の発症に身心のコンディション変化であるバイオウェーブは関係しています。

 バイオウェーブに似たものとしては厄年があげられますが、厄年は男女の違いを除けば画一的であるため実態に即してはいません。バイオウェーブは一人ひとり異なるのです。

 またバイオウェーブには忌み嫌われる厄年的な変化のみでなく、歓迎すべき躍年的な変化もあります。つまりバイオウェーブは言わば好・不調の人生波です。

 看過されてきた三大病理の三つ目は、ガンや難病の総称とも言える中枢末梢非同調症候群が起こるメカニズムです。

 生命活動の二重性は「秩序と調和」の要素が相互補完して成り立っていますので、四大病理の要素は互いに影響し合っています。ただ根本的には秩序の要素からきていても、表面的には調和の要素に見えることがほとんどです。生命力も本質は「秩序と調和」の総合からきています。

 なお心に原因があって身体症状として現れる心身症は1960年代までは未知の病理でしたが1970年代以降、心身医学(心療内科)などの発達により未知の病理ではなくなりましたので既知の一大病理に含めています。