根源的な体内時計は「加齢時計」

  地球は自転しています。その一自転を一日24時間と定めました。また地球は太陽の周りを公転しています。その一公転を一年365日と定めました(ただし四年に一回は366日の閏年)。

 一般によく知られている体内時計は概日リズム(24時間前後で約25時間が多いとされている)を刻む時計です。しかしこれは生命の同調機能の表れであり、自立的・根源的な体内時計ではありません。

 それが証拠に地球の自転(日周変化)を全く感知できない環境(例えば地下深く掘った環境)に数週間置かれると概日リズムが消失することが実験で確かめられているのです。また飛行機で短時間のうちに経度の違う場所に移動すると時差ボケが起こり、数日すると現地のリズムに合うように調整されるのも生命の同調機能の表れです。

 一般によく知られている従来の体内時計が「計量としての時間」を表すのに対して、「方向としての時間」が存在することを提唱した学者がいました。

 渡辺慧氏(ハワイ大学教授等を歴任した物理・情報学者、19101993です。しかも渡辺氏は「計量としての時間」しか視野にない従来の体内時計の学者・専門家を前にして40年近いむかし、講演を行なってもいるのです(「続・バイオリズムとその機構」/講談社刊 (1978) より

 しかし従来の体内時計の学者・専門家の基本的概念は現在も変わっていません。学者・専門家は残念ながら自身が一度専攻した学問の基本的概念を簡単に変更することが許されないのです。恩師や先輩や所属組織、はたまた伝統等による縛りがあるからです(この点で当方の研究は縛りがありません)。

 このように学問は往々にして学者のためのものになり、一般の人々のためになっていない場合が多いのです。

 「方向としての時間」こそ、根源的な体内時計に直結する時間なのですが、これまでほとんど知られていません。この状況に一石を投じたのが体内地動説です。つまり体内地動説は従来の体内時計が自立的・根源的ではなく同調的・環境順応的であるとともに、自立的・根源的な体内時計が「加齢時計」であることを計測データに基づいて指摘してもいるのです。

 

次ページ   前ページ