生命システムの概念図

 以下は生命システムの概念図です(説明は図の下方にもあります)。

 ※ 概念図はクリックまたはタップし拡大することができます。

 

 

次ページ   前ページ

 

 

【概念図の説明】

赤色の帯で示したのは生命内部の時間のうち、身体系の時間です。このような時間は従来の概念でも一部見られるように、発生生物学や時間生物学で胎児期まで考えられてきました。しかし、胎児期以降、赤色の帯は従来の概念では中断し、緑色の帯変わっています

つまり、赤色の帯で示した秩序的活動(A活動(らーじえー)と以下では略記)は新概念では胎児の早期で第一バイオスターが生まれ、誕生後も赤色の帯で示したように一本の線として続いていることを示しています。そしてA活動を土台に調和的活動(a活動(すもーるえー)と以下では略記)が行なわれているという二重性を示しています。

すなわち、これまでの医(医学・医療)で診ているのは主として緑色の帯で示したa活動です。誕生後のA活動は知られていません。

a活動は恒常性を保つホメオスタシス機能として医学では周知されています。

例えば、暑ければ汗をかいて体温を一定に保つように、身体内外のそのときどきの環境変化に対して一定の状態を保とうとするのがホメオスタシス機能です。この機能が正常に働かないと、病気の症状を呈することになります。

ところが、その根底にはA活動が存在してa活動を支えており、両活動は二重性として相互補完の関係にあるのですが、A活動や二重性は知られていません。これが原因不明の病気の多いひとつの要因になっているのです。

A活動は生命力や自然治癒力の源泉となるもので、それらの力は医学的には自律神経系、内分泌系、免疫系の三位一体化した総合力と言えます。

ここまでは身体系です。

精神系も身体系にやや遅れて第二バイオスターが生まれ、青色の帯で示した連続的活動(B活動(らーじびー)と以下では略記)を土台に紫色の帯で示した非連続的活動(b活動(すもーるびー)と以下では略記)が行なわれているという二重性を示しています。

一般的に知られている精神活動は紫色の帯で示したb活動です。

青色の帯で示した精神系のB活動は身体系のA活動以上に知られていません。

土台は表面的には隠れていますが、目に見える部分を支える重要な役割を果たしていることは生命活動も例外ではありません。

以上のように人間の生命活動は身体系と精神系のそれぞれが二重性からなり、全体では四重性からなっています。

人間の心は知・情・意に大別できます。

その知・情・意のうち、精神系の二重性は意を主体に存在しているのです。

知は「知性」、情は「感情」を意味しますが、意は「意思」と「意志」の両方の意味があって、これが二重性に深く関係しています。

つまり、知・情・意の統括役である意を主体に存在しているのが精神系の二重性です。

「意思」はそのときどきの思いや考えであり、短期的・非連続的な性格をもっています。ところが、「意志」は(こころざし)ということからもおわかりのように、持続的な思いや考えを意味し、長期的・連続的な性格をもっています。つまり、意志は意思に比べて、より長期的・連続的です。

知や情はそれらの統括役である意におのずと反映されます。それは短期的には意思に反映され、長期的には意志に反映されます。

記憶したり、記憶を思い出したり、思考したりなどを別にすれば、精神系に純粋に含まれるものは意外に少なく、日常的な活動の多くが精神系と身体系の両方にかかっていると言えます。それほど精神系と身体系とは密接不離です(身体系と精神系という区分けも本来便宜的なものであり、ある一線ですべてが明確に分類されるわけではありません)。

つまり、意識できる活動の多くが身体系のa活動と精神系のb活動にまたがっていると言えます。

これが身体系のA活動と精神系のB活動になると、どちらも意識はできません

身体系のa活動に純粋に含まれるのは心拍や呼吸、消化、吸収、発汗、傷の修復など、内臓や器官、組織の働きを主体にした植物的な活動と言えます。

このような二重性は「種を蒔けば芽が出る」仕組みが生命にも存在することを意味し、しかもそれが身体系と精神系のそれぞれに存在します。

良い種を蒔けば良い芽が出る半面、悪い種を蒔けば悪い芽が出るという自然の摂理そのものです。意識するとしないとにかかわらず、我々は生命に対して日常的に種を蒔いており、それが生活習慣と言えます。

人間の生命の場合、蒔かれた種の効果で身体系や精神系の「場」が変化し、その結果が徐々に表面化するだけではありません。第一バイオスターや第二バイオスターが「場」の変化の箇所に差し掛かると、体や心の変化として一気に表面化する性質があります(ここでの「場」は生命場せいめいば意味します)。

そのために「種を蒔けば芽が出る」仕組みによる影響は見た目以上に大きいのです。したがって、健康や心の成長はもう少し長い目で見る視点も必要です。

海馬の萎縮や変性が特徴とされるアルツハイマー型の認知症も根本原因は不明とされていますが、このような認知症を予防するには、良い種を日常的に蒔くことはもとより、精神系のB活動、精神系の時間と身体系の時間のバランス、四重性などにいち早く気づくことが効果的で重要です。

間の生命活動を音楽にたとえたならば全体では四重奏(カルテット。人間の生命活動の四重奏を〝ライフカルテット〟と呼称しています)であり、人間の健康は広い意味では四重奏に乱れのないことで保たれると言えます

 

次ページ   前ページ