見過ごされている生活習慣病の重大要因

 健康に関心のあるひとに生活習慣病の要因を尋ねたら答えられないひとのほうが少ないと思われるほど広く知られています。すなわち肥満、高血圧、高血糖、脂質異常、運動不足、喫煙、過度のストレスや飲酒などです。

 これらの要因が動脈硬化や糖尿を促進し、ガン、心筋梗塞、脳卒中(脳梗塞、脳出血)、糖尿病などの生活習慣病を引き起こす、というのがよく知られた概念です。しかし専門家の誰もおそらく言わなかったであろう生活習慣病の知られざる要因に時間認識があげられるのです。

 しかも根本原因が不明とされているアルツハイマー型認知症の大きい要因にも時間認識はなっていると言えます。すなわち人間社会中心の時間認識で生活していることが一種の生活習慣であり、これ一辺倒の時間認識が生命本来の働きを削ぎ、生活習慣病との距離を縮めているのです。

 暦年齢(暦に基づいて数える年齢)は人間社会中心の時間認識のひとつの表れです。暦年齢はその指標が健康とは直接関係のない外部にあります。ところが我々は生命内部に健康と直接関係する時間とその指標をもっています。この内部の時間を見据えた生命中心の時間認識をもつことが生命本来の働きを取り戻すのに重要であり、生活習慣病、認知症をはじめ万病の予防に通じるのです。

 人間は社会的な生き物ですから人間社会中心の時間認識は必要です。しかし健康のためもう一方では自然中心とりわけ生命中心の時間認識が必要なのです。このことが超高齢社会でいっそうはっきりしてきました。

 超高齢社会は高齢者の割合の増加のみならず、生命内部の時間を長く生きるひとの増加でもあります。これまで広く知られている生活習慣病の要因は標準よりずれると生活習慣病との距離を縮めるものばかりです。

 対して時間認識は標準がすでに生活習慣病との距離を縮めている点が違うのです。つまり現状では時間認識が生活習慣病の遍く要因になっているのです。

 ただ近年では専門家の間でも生活習慣病の要因として冒頭であげた以外、〝加齢〟が盛んに言われるようになりました。これは時間認識に一歩近づいている兆候と見ることもできますが、生命内部の時間が依然見過ごされており、まだまだ生命中心の時間認識の重要性に社会の光は当たっていません。

 

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